Autographic 第二十話:傷跡
車内が暑くなってきたところで少し窓をあけると、むせ返すような緑と土の匂いが車内に入ってくる。後ろを見れば、狭い車内で重なり合うロボたちは、時たま下になった犬が苦しそうに顔を出し、体勢を入れ替え上に出てきたりを繰り返していた。 ...
Autographic 第十九話:迷い
体と足首の痛みを堪えながら、犬たちを追いかけて車を停めた場所を目指して山を降る。
思えば今日は散々な一日だった。慣れない山歩きだけでも疲れるのに、崖から落ちて熊に出会ったりすればヘトヘトになって当然だ。
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Autographic 第十八話:生命
新井さんが鹿の腹を狩猟刀で切り裂くと、生臭さを纏った内臓がドロリと出てくるとともに大量の血が流れ出てくる。それをおじさんが、右側にいる猟犬たちと左側のロボの前に投げ置いた。
ロボと猟犬たちは内臓に食らいつき、尻尾を振り ...
Autographic 第十七話:獲物
おじさんの犬はゴローとハナ、新井さんの犬はジョンとキース。四匹の猟犬に負けないような名前を考え始めたものの、なかなか良い名前が浮かんでこない。それも当然だろう。野犬は体こそ大きいものの毛並みに艶がなく、換毛期ということもあり見た目が ...
Autographic 第十六話:猟犬
「秀人! 突然いなくなったから心配したぞ!」
おじさんと新井さんが、猟銃を肩に掛けたまま凄い顔で近付いてくる。見ると、立ち止まって野犬を見ていた猟犬たちも、おじさんたちが来たら尻尾を振って動きはじめた。
「お ...
Autographic 第十五話:再会
まるで道案内するかのように僕の前を歩く野犬。
後ろから観察すると、毛色や体型からハスキー犬と四国犬が混じったような雑種犬と思われるが、長くて太い尾の先は切断されたように丸く、先端の毛は黒い。ピンと立った耳は地犬や甲斐犬 ...
Autographic 第十四話:山犬
熊は後ろ脚で立つのを止め、再び前脚を地に付けて川の中を僕の方に向かってゆっくりと歩いてくる。野犬を見ると、熊を睨んだまま歯をむき出して唸り声をあげ、熊を威嚇していた。
川のせせらぎと体をすり抜けていく風だけが時の流れを ...
Autographic 第十三話:咆哮
――暗闇の中、背の高い草をかき分けながら歩き続けている。
樹木に遮られて星明りも届かない山の中を、もうどれくらい歩いたのだろうか。後頭部からは血が流れ、痛む背中と右脚を引き摺りながら歩いていく。まるで、空襲後の焼け野原 ...
Autographic 第十二話:遭難
横も後ろも正面も、周りは樹木が生い茂り薄暗い。よく晴れた五月の午前中だというのに、太陽の光が半分くらいしか届かないようで肌寒さすら感じる。
僕の前にはおじさんと新井さん、その先にはゴロー、ハナ、ジョン、キースの四匹が歩 ...
犬は外? 犬は内?
犬が登場する物語を書いてるためか、妙に犬が飼いたくなっている。物心ついたころから、常に犬や猫をはじめとしたペットを飼ってる家庭で育ったためかもしれない。
最後にペットを飼ったのは9年前に死んだ雑種犬だったが、この犬が死 ...
