創作長編小説

神様の贈りもの

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 自分の人生を他人の人生と比べるなんて、とっくに止めてる。人様を羨むより、あきらかに人より恵まれてない自分の人生、明日どうなるかなんて考えず今を生きよう、昨日より今日を良くしようと生きてきた。だけど今の俺の在りようはどうだ? 日々悪く ...

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神様の贈りもの

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 ――結局あの後、目が覚めたら朝になっていたので、あの出来事が現実だったのか夢だったのかは未だ分からない。でも、言われることは違っていても、今もあの光と声の夢を見続けているので夢だったのかとも思う。そのことも含め、過去を振り返りながら ...

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神様の贈りもの

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 自室に戻って照明の豆電球だけは点けたままベッドに飛び込み、恐怖でエンジンブローしそうなほど高鳴っている心臓の鼓動を感じながら、タオルケットを頭まで掛けた。神社の御神木といいチャイムが鳴ってるのに誰もいないことといい、今日の出来事は絶 ...

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神様の贈りもの

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 友達の後を追いかけて必死に走っていると、鳥居の手前で何者かに右肩を掴まれ引き倒されそうになったが、俺たち以外に人がいる訳がない。恐怖から逃れるように走りながら頭を左右に振り、公民館の手前でやっとケンに追いついたが、誰も別れの挨拶なん ...

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神様の贈りもの

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 神社の前に来た俺たちは鳥居の前で立ち止まり、誰からともなくペコリと頭を下げた。こういった仕来たりや礼儀作法には、なぜかゴリがうるさい。

「みんな、鳥居の真ん中通るなよ」

 ジメジメして体に纏わりつくような夜の ...

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神様の贈りもの

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 ――夜十一時三十分、家の中から物音が聞こえなくなり静かになった。家族は全員床に就いたようだ。スウェットからジーンズとTシャツに着替え、カメラと家の鍵を持ってそっと階段を降りて行った。

 廊下も玄関も真っ暗で父と母も寝てし ...

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 目が覚めると部屋の中が薄暗くなっており、首や腕、脚のあちこちが痒い。小説を読んでたはずなのに、いつの間にか寝てしまったようだ。窓は全開のままだしTシャツに短パンじゃあ、蚊に刺してくれって言ってるのに等しい。痒くなって当たり前だろう。 ...

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神様の贈りもの

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 自宅の前まで行くと、庭に車が停まってない。ラッキーなことに母は買い物にでも出かけてるようである。今のうちにカメラを確保しておこう。これ幸いとばかり、家に入った俺は真っ先にリビングへ行き、戸棚に置いてあるカメラを取って二階にある自分の ...

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神様の贈りもの

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 ゴリと高田とまーちゃん、ケンとチョーケン、そして俺と小和田が帰る方向が一緒だったので同じ方向へ帰る者同士で自然と固まり、校門に向かって話しながら歩き始めたときだった。

「コラ~ッ! 花壇の横に机を積みやがったのはテメーら ...

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 バレー部の部室が使えないなら、プール下の古い机や椅子が置いてある場所しかない。そこは以前、不良たちの溜まり場になっていたが、プール横に通称「大島農園」と呼ばれる花壇ができてからは、部員が一人もいない園芸部顧問、大島先生を恐れて誰も近 ...