ロックンロール・ライダー:第一話

一月半ば、高校卒業を目前に控え、まだ進路が決まってなかった俺は、親や教師に将来のことを考えるよう言われるのが嫌で、学校帰りに本屋へと足を向けた。
就職情報誌を適当に開いて目に入った求人欄の電話番号を覚え、家に帰って電話 ...
【映画レビュー】北京原人~Who are you?~

この映画について聞かれると、筆者は勝手に「ジュラシック・パークに対する東映からの回答」と説明している。
誰が北京原人を演じているのかという仕掛けもまったく話題にならず、制作した東映が大赤字になって会社が倒産しかけたとい ...
祟り

春の冷たい雨の中、後ろが気になり何度も振り返りながら家路を急ぐ。いまだに背中を走るゾクリとした悪寒が治まらない。
稲荷神社から家まで僅か八百メートルの距離、その道のりが途方もなく長く感じる。
「あれは祟りだ ...
【ライナーノーツ】back numberと私

※嫁に「工事現場の騒音みたいなのばかり聴いてないで、これを聴いてみろ」とCDを渡されたので、忘れて夫婦喧嘩にならないよう記しておく。
「革のパンツにブーツ、ありきたりなヘヴィメタルの格好は嫌だったんだ。ラモーンズを見てみろ ...
夢幻の旅:あとがき

「俺は死ぬとき、残される妻に何を言うんだろう」
そう思ったのが、夢幻の旅を考えるきっかけでした。女性の寿命のほうが男性より長く、どう考えても先に死ぬのは俺だろうと。
書くなら夫婦の物語としてだけではなく、家 ...
夢幻の旅:第三十ニ話(最終話)

「こんなに早く亡くなるなんて……」
「光平、迷わずお父さんのところへ行くんだよ」
八月二十日、身内だけで光平さんの四十九日法要を行い、お義父さんが眠る墓への納骨を終えた。
荼毘だびに付してもらう ...
LOSE GAME

いまでも俺はやり続けてる お前との約束を果たすため
レコードとは違うものになってしまうけど
お前のビートに乗せて 言葉を紡ぐ
不幸が続き 狂気に抱かれ 闇に沈んだ
正気を失くしたお前との ...
夢幻の旅:第三十一話

そんな気配を感じながら、放射線治療に投薬治療が続く毎日。
ひどく体が痛むときは鎮痛剤の医療用モルヒネを処方され、頭がボゥッとしてしまい意識を保つのも難しい。
ベッドに寝てるだけでも体中が痛い。特に背中の、 ...
夢幻の旅:第三十話

緩和ケア病棟は、今いる病棟の南側にある。
二つの病棟をつなぐ二階の連絡通路に行くため、俺たちはエレベーターに乗り込んだ。
扉が閉まると、俺は溢あふれ出る涙を袖口で拭き、大きく溜息をついた。
「 ...
夢幻の旅:第二十九話

しばらくの間、椅子に座ったまま天井を見ていたが、やはりというか、当然のことだが思考が停止してしまい何も考えることができない。
頭の中にあるのは『死』の文字だけ。
人は誰でも死ぬと分かっていながら、いざ自分 ...