創作長編小説

神様の贈りもの

創作長編小説

 ――夜十一時三十分、家の中から物音が聞こえなくなり静かになった。家族は全員床に就いたようだ。スウェットからジーンズとTシャツに着替え、カメラと家の鍵を持ってそっと階段を降りて行った。

 廊下も玄関も真っ暗で父と母も寝てし ...

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神様の贈りもの

創作長編小説

 目が覚めると部屋の中が薄暗くなっており、首や腕、脚のあちこちが痒い。小説を読んでたはずなのに、いつの間にか寝てしまったようだ。窓は全開のままだしTシャツに短パンじゃあ、蚊に刺してくれって言ってるのに等しい。痒くなって当たり前だろう。 ...

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神様の贈りもの

創作長編小説

 自宅の前まで行くと、庭に車が停まってない。ラッキーなことに母は買い物にでも出かけてるようである。今のうちにカメラを確保しておこう。これ幸いとばかり、家に入った俺は真っ先にリビングへ行き、戸棚に置いてあるカメラを取って二階にある自分の ...

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神様の贈りもの

創作長編小説

 ゴリと高田とまーちゃん、ケンとチョーケン、そして俺と小和田が帰る方向が一緒だったので同じ方向へ帰る者同士で自然と固まり、校門に向かって話しながら歩き始めたときだった。

「コラ~ッ! 花壇の横に机を積みやがったのはテメーら ...

創作長編小説

神様の贈りもの

創作長編小説

 退屈な授業がやっと終わり、再び生徒たちのお喋りや笑い声で賑やかになる教室を出て、俺とゴリと小和田は理科室へ向かった。まーちゃんとケンは教室掃除、そして運が悪い事に高田とチョーケンはトイレ掃除の週だった。ゴリと小和田と喋りながら理科室 ...

創作長編小説

神様の贈りもの

創作長編小説

「いま思いついたんだけど、みんなでカメラ持っていって写真撮らねえ? もしかしたら心霊写真が撮れるかもよ?」

「いいねぇ! 心霊写真が撮れたら『あなたの知らない世界』に送ろうぜ!」

「それ賛成! テレビで放送され ...

創作短編小説

バレンタインデー

創作短編小説

 誰にだって思い出がある。楽しかった思い出に嬉しかった思い出、悲しい思い出。ほとんどの人にとって、人生に埋めてあるタイムカプセルには大切な宝物が入っているに違いない。

 でも、俺の人生に埋めてあるタイムカプセルにはガラクタ ...