創作短編小説

祟り

創作短編小説

 春の冷たい雨の中、後ろが気になり何度も振り返りながら家路を急ぐ。いまだに背中を走るゾクリとした悪寒が治まらない。

 稲荷神社から家まで僅か八百メートルの距離、その道のりが途方もなく長く感じる。

「あれは祟りだ ...

創作短編小説

溺れる髪

創作短編小説

 寝苦しい夏の夜、若者は涼を求め外に出てしまいがちだ。意味もなくコンビニの駐車場に溜まったり、バイクや車で走り回ったりする。

 夏のイベントといえば、花火や祇園祭、七夕などであるが、どの地域でも心霊スポットを巡り肝試しをす ...

創作短編小説

Ghost Dance

創作短編小説

 高校三年生の夏休み、お盆直前に山の向こうに飛行機が落ち大惨事になった。

 隣の県の、我が県との県境にあるふたつ隣の街の学校の校舎や体育館が遺体収容場所になり、うちの方まで大パニック、ふたつ隣の街は、住民や市内の会社へ行く ...

創作短編小説

思い出のステップ

創作短編小説

 人生は駄菓子屋で買い物をするようなものだ。甘いお菓子に酸っぱいお菓子、しょっぱいお菓子を選んでいく。

 選択次第で酸っぱいお菓子ばかり食べることになり、甘いお菓子を買うことはない。特に若い頃は選択が下手で、酸っぱいお菓子 ...

創作短編小説

バレンタインデー

創作短編小説

 誰にだって思い出がある。楽しかった思い出に嬉しかった思い出、悲しい思い出。ほとんどの人にとって、人生に埋めてあるタイムカプセルには大切な宝物が入っているに違いない。

 でも、俺の人生に埋めてあるタイムカプセルにはガラクタ ...