第二話 Teenage Robotomy 其の7
(終わっとる……。ヘンタイロス君の戦いも……)
ブラジャーを直すヘンタイロスに戦いの終わりを見たベラマッチャは、カツラが取れ呆然と立ち尽くしている暴行族に向かい、大声で叫んだ。
「暴行族の諸君! 聞きたまえ!」
ベラマッチャの声に、何事が起きたのか理解できないでいた暴行族たちが、一斉に振り向いた。
「君等の悪行もこれまでだ! 街の人々への乱暴狼藉! 稼業人への喧嘩を売る様な振る舞い! 僕等は断じて許さんぞ!」
ベラマッチャの話を聞いた暴行族たちは、一瞬の間を置いた後ざわめき、やがて悲鳴をあげ、脱兎の如く逃げ始めた。
「稼業人と喧嘩だって!?」
「うわあぁ! 暴行族は解散だ~ッ!」
雪崩を打ち逃げる暴行族を目にし、僅かばかりの爽快感を味わうベラマッチャに、ヘンタイロスが近づいて来た。
「ねぇん、ベラマッチャ、ポコリーノが誰か連れて来るわよん?」
ヘンタイロスの指す方向を見ると、確かにポコリーノとシャザーン卿が男の腕を片方づつ持ち、引き摺って来る。
ベラマッチャとヘンタイロスは台座から降り、ポコリーノ達に向かって歩いて行った。
「まったく世話の焼けるガキ共だぜ」
ポコリーノとシャザーン卿は男の腕から手を離すと、男が被っているカツラを脱がせ、放り投げた。
ベラマッチャとヘンタイロスはポコリーノ達に近づくと、男の顔を覗き込んだ。
「むぅ、台座の上で叫んでいた男だな」
「この男がリーダーかしらん?」
「多分そうじゃろう。ポコリーノ、この馬鹿を起こせぃ」
ポコリーノはシャザーン卿の言葉に頷き男に往復ビンタを喰らわせると、男は顔を顰めて短い声を漏らしながら、ゆっくりと瞼を開いた。
「とっ、渡世人!」
男は仰天したらしく、コメツキバッタの様に飛び起き、やがて観念した様な表情でその場に座り込んだ。
ベラマッチャは、疑問に思っていたカツラについて聞こうと、男の目をジッと見ながら尋ねた。
「キミィ、なぜ君たちはカツラなど被っとるのだ? 禿げてる訳でもなかろう?」
「そっ、それは……」
男は下を向き恥ずかしそうにモジモジしていたが、催促するようなベラマッチャの視線に覚悟を決めたらしい。
「少し前にエロいオバサンと知り合って、姦らせてやる代わりに頼みを聞いて欲しいって言われたんだ……」
男は血の気が失せた顔を下に向け、ゆっくりと話だした。
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