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第4回ツギクル小説大賞で、当サイトの作品「夢幻の旅」が奨励賞を受賞しました。
管理人:Inazuma Ramone

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ゲイロード

雑記帳:読むな! 呪われるぞッ!

販売業という職業柄、店には様々なお客様が来店される。学生、OL、主婦、サラリーマンにクレーマー、多くのお客様に支えられ日々の糧を得ているが、数年前ご来店されたお客様の中に、店舗スタッフ一同に強烈なインパクトを残してくれた方がいらっしゃるので紹介したい。

「ちょっといいですか」

アルバイトが呼びに来たのでレジを見ると、そこにはガッシリした体格の骨太の女が立っていた。

何事かとバイトに尋ねると、店で発行しているメンバーズカードの登録を変更して欲しいらしい。住所や電話番号の変更ならバイトができる筈なので更に詳しい話を聞くと、バイトは信じられない一言を発した。

「いや、チョン切ったらしいんです」
「!?」

驚いた事に骨太女は男だという。右手で何度も股間部分を切る仕草をするバイトでは流石に対応できないと思い、俺はレジへ行きバイトに代わって対応する事にした。

「あの……戸籍上男性ですと男性で登録せざるを得ないんですが……」

するとお客様は、バッグから健康保険証を取り出してレジカウンターの上に置いた。

「私、女になったんですぅ」

まるで、脳天から発せられるような裏声で嬉しそうに説明し始めるお客様。なんでも国に性同一性障害が認められて性別を変更し、改造手術を受けて女の体にもなったらしい。伸び縮みするイヤらしいチ○コが取れたせいか、いまだ髭剃り後が目立つ表情は晴れやかだ。

保険証が女になっている以上、登録も変更せざるを得ない。俺はデータを探し出し、その場で名前と性別を変更した。

彼は、いや、女になったんだから彼女? でも男だったし……でも今は女……。訳が分からなくなるので、便宜上、ここでは『カレジョ』としよう。カレジョはデータが女になったのを確認すると、満足そうな表情を浮かべて帰っていった。

しばらくの間、店舗スタッフの間ではカレジョの話題で持ちきりだったが、その後カレジョを見かけない。記憶が薄れはじめた頃、突然カレジョは現れた。しかも男連れである!

男は年の頃30前後、カレジョと腕を組み楽しそうに店内をブラついている。俺は興味を持ち、売場を整理するフリして店の奥へ行く2人を追いかけ、遠目で観察し始めた。すると2人は立ち止まり体をくっつけたではないか。

なんだろう? と思い少し近づくと、なんと2人は『チュー』していたのだ!

(いいのか……? 本当にいいのか!? そいつ男だったんだぞっ!)

自分の常識では計り知れない、衝撃の光景を目の当たりにして高鳴る俺の心臓。心の中で男に向かって危険を知らせる叫びを発したが、当然男に聞こえる訳はない。

だが男は、俺の心の叫びを無視するかの様な言葉を吐いたのだ!

「○○ちゃんは本物の女になってから一段と綺麗になったね」

なんて事だ……男はカレジョが改造人間になる前から付き合っているらしい。この男はゲイなのか……? でも、彼はもう女だし……。再び混乱する俺の頭。

「Oh 脳!」と叫んだところで常人に理解できる筈もなかろう。おそらく男は、カレジョが改造手術を受ける前からその尻をハメ倒していたに違いない。

この男は、なぜ禁断のゲイロードを歩み始めたのだろう? 一般変態性理論では導き出せない禁断の行為。こいつはきっと、『特殊変態性理論』でも体得しているのだ。

俺は男の尻にハメるのも、自分の尻にハメられるのも御免こうむると思いながら、何も買わずに店を出た2人を「ありがとうございました~」と声を掛けて見送った。

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