第二話 Teenage Robotomy 其の5
(戦っとる……。ヘンタイロス君も……)
ヘンタイロスは恍惚の表情を浮かべながら、シャザーン卿が鞭を振るう度に乳首をキュッと抓り、喘ぎ声を漏らす。
己のマインド・リングで戦うヘンタイロスを眺めていたベラマッチャは少々呆れ、ポコリーノとシャザーン卿に視線を戻した。
二人は既に半分近い暴行族を薙倒している。
「どうやら僕の出番は無さそうだな……」
ベラマッチャは呟き、両腕を組んで二人を見守る事にした。ポコリーノの木人拳は凄まじい威力を発揮し、近寄る暴行族を全て殴り倒している。
暫くの間、ポコリーノとシャザーン卿の雄姿を見ていると、台座の下から人の声が聞こえて来た。
台座の下を覗き込むと、ポコリーノとシャザーン卿に倒された暴行族が立ち上がり、ポカンとした顔でカツラを握りながらボソボソと話をしていた。
虚ろだった瞳は正気に戻り、動揺が表情に表れている。
「なんで殴られたんだ?」
「分からねえ……。周りに落ちてるカツラは何だ?」
「確か総長に『カツラを被れ』って言われて、ダサいカツラを被ったよな?」
「あぁ……。それから記憶が無えんだ……」
暴行族の話に聞き耳を立てていたベラマッチャは驚き、台座から飛び降りると、暴行族に歩み寄った。
「キミィ、カツラの話を詳しく聞かせてくれんかね?」
「とっ、渡世人!?」
ベラマッチャを見た暴行族はガタガタと震え、後ずさりし始めた。
ベラマッチャは暴行族を安心させるため、笑みを浮かべながら近寄ってみたが、乱闘最中の緊張もあり、どうしても顔が引き攣ってしまう。
一歩近づくと暴行族は一歩後ろに下がる。ベラマッチャは機転を利かせ、若者同士の砕けた会話を試みた。
「ヘイ兄ちゃん! そのヅラ、ナウいじゃん! 今夜もフィーバーしとるかね!」
ベラマッチャの変わりように、突っ立ったままの暴行族の二人は、口を半開きにして唖然としていた。
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