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第4回ツギクル小説大賞で、当サイトの作品「夢幻の旅」が奨励賞を受賞しました。
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ロックンロール・ライダー:第十五話

創作長編小説

(やるって、なにをやるんだ?)

 彼女の言葉を理解できないままでいると、ミーが俺の左腕をつかみ歩きはじめた。

 引っ張られるまま付いていくと、悲鳴館近くのコンビニの角を曲がり、路地に入ってすぐのラブホテルに入っていくではないか!

(えっ? えぇっ?)

 自動販売機のような機械で部屋を選ぶシステム。ミーにうながされて金を入れ、二時間六千円の部屋を選んだ。

 昨夜童貞を喪失したばかりなのに、今日もラブホテルに来ることになるとは。

 エレベーターに乗って部屋へ行くと、ミーはソファーにバッグを置いて服を脱ぎ始めた。

「一緒にシャワー浴びようよ」

 肉付きの良い彼女の体を見ていると、分身に力がみなぎってくる。

 素っ裸になったミーに服を脱がされ、バスルームでシャワーを浴びながらお互いの体を洗っていると、彼女の手が俺の分身をいじりはじめた。

 我慢できなくなって抱きつくと、腕から抜け出た彼女は俺の手を引き、バスルームから出てソファーへ連れていく。

 ミーはバッグの中から丸められたアルミホイルを取り出して広げ、端をよじって持ち手を作り、薬の袋のようなもから塩に見える粉を少しだけその上に出す。

 ミーはアルミホイルの下からライターであぶり、出てきた煙を吸いはじめた。

(こいつ、スピードやるんだ……)

 突然ドラッグをやりはじめたミーを呆然と見ていると、目をトロンとさせた彼女が俺の方を見た。

「ジェイはやらないの?」

「俺はやらない。ロックンロールにしか興味ないんだ」

「へぇ~、真面目なんだね」

 だが、目の前の裸体が放つ女の匂いに我慢できなくなって隣に座り、再び煙を吸いはじめた彼女の体を触りはじめる。

 男なら女の体に興味があるのは当然のことで、ロックンロールに興味が出る以前の本能的なことだ。

 乳首を吸い体を舐め回していると、ミーは燃え尽きて煙が出なくなったスピードをテーブルの上に置き、俺に抱きついてきた。片手で彼女の股間をまさぐると、まるで洪水のように汁があふれている。

 咽返むせかえす女の匂いにたまらなくなってミーをソファーに押し倒し、その場で分身を女体の神秘に挿し入れた。

「あぁ~っ!」

 大声を上げながら体を反らせて腰を振り、両手を俺の尻に添えて分身を奥へと送り込もうとする。

 彼女の期待に応えるよう腰を打ち付けるものの、ミーの大声と反応の凄さに驚いてしまい、半ば呆気にとられながら動き続けた。

 俺の下で、ミーは白目をいてヨダレを垂らし、体をガクガクさせて絶頂を迎えようとしている。

 俺の分身が欲望を放出し、深々と腰を打ち付けたまま動きを止めるとミーの絶叫に近い大声が止まり、体を硬直させて動きを止めた。

 白目を剥いたまま体を痙攣けいれんさせるミーの姿に、地元のライブハウスで知り合った男から聞いた「スピードをキメてセックスすると最高に気持ちいい」という話を思い出す。

 ヒッピーの生き残りのような男でマリファナを常用しており、覚醒剤かくせいざいを使ってするセックスの気持ち良さを語っていた。

 失神しているミーの体を見ていると再び欲望が沸き起こるが、二日続けてのセックスで体が疲れているのか、グッタリしている彼女の上に乗る気になれない。

 ベッドに移動して横になり、俺も少し眠ることにした。

「ジェイ、時間だってさ」

 誰かに揺すられ目を覚ますと、いつの間にかミーが横に来ていた。体を起こすと、まるでプールに入った後のようなだるさを感じる。

「ミーちゃん……」

 裸のまま横にいるミーに急かされ、二人とも慌てて服を着はじめた。

 財布やアクセサリーなど忘れ物がないか急いで確認し、部屋を出てラブホテルを後にすると、二人で手を繋ぎなにも喋らず悲鳴館まで歩いていく。

 ライブハウス前まで来るとミーは繋いでいた手を解き、人目もはばからずに俺に抱きついてきた。

「すごく良かったよ。あたしたち、体の相性がいいみたいね」

 小声で言うと、ミーはディープキスで喋ろうとする俺の口をふさぐ。

「いつも悲鳴館にたむろしてるから。またヤろうよ」

 唇を離すと、彼女は手を振りながらライブハウスへの階段を降りていった。

 ミーを見送って悲鳴館を後に歩きはじめたが、まさか二日続けてセックスするとは思わなかった。それも二人とも知らない女だ。

 スッキリした感じに覆い被さるように疲労感が襲ってくる。御茶ノ水に寄ってギターを見ようと思ってたが、この感じじゃあ昼飯を食ったら寝てしまうだろう。

「飯でも食って帰るか!」

 蒼天で輝く太陽を見ながら両手を上げて背伸びし、革ジャンのポケットから煙草を取り出して火を点けた。

 時間は午後一時、柴又まで戻って前に寄った蕎麦屋でカツ丼を食おう。目黒の店で済ませたり銀座の伯父の店で食べたるりすると、電車の中で睡魔に襲われ乗り過ごしそうだ。

 目黒駅から電車に乗り、地下鉄を乗り継いでアパートへ向かう。疲労のためか、空腹でも電車の揺れの心地よさで吊革に掴まったまま眠ってしまいそうになる。

 おまけに腹が鳴り続けて恥ずかしい。

 おばさんにジロジロ見られたり若い女にクスクス笑われ、女子大生らしき集団からは「女の匂いがする」と言われ嫌な顔をされた。シャワーも浴びずにラブホテルを出たんだから仕方ないが。

 空腹を我慢してやっと高砂駅にたどり着き、線路沿いを歩いてアパート近くの蕎麦屋に到着。

「いらっしゃいませ」

 店に入ると、この間の背が高い巨乳の娘が出てきた。接客慣れしているのか俺を見て顔をほころばせ、座ったテーブル席まで笑顔でお茶を運んできた。

 娘はメニューを見ている間も横に立ち、俺の注文を待っている。

「カツ丼と盛り蕎麦」

「カツ丼ひとつと盛り蕎麦ひとつですね。かしこまりました」

 奥へ歩いていく後ろ姿を見ながら、ポケットから煙草を取り出して火を点ける。

(相変わらず明るくて綺麗な娘だなぁ……)

 つい二時間ほど前まで他の女とセックスしていたのに、煙草を吸いながら蕎麦屋の娘の尻に視線がいっている。そのことに気づき、煙を吐き出しあわててお茶を飲む。

 来週は新宿ロストへ行こうか、それとも目黒悲鳴館へ行きまたミーとセックスするか考えながら二本目の煙草を吸い終わる頃、カツ丼と盛り蕎麦が運ばれてきた。

「お待たせいたしました」

 笑顔で運んできた娘に礼を言い、背中にくっつきそうなほど飢えた胃袋にカツ丼と蕎麦を放り込んでいく。

 やはりこの店のカツ丼と蕎麦は絶品だ。箸を止めることなく食い続け、会計のとき店の娘に「美味うまかったです」とひと言だけ言い、アパートへ向かった。

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Posted by Inazuma Ramone