第七話 Head On A Pole 其の9
(右ストレート!)
呻りをあげるカツラスキーの拳に、ベラマッチャは咄嗟にサイコロジーを駆使して避けようと試みたが、拳をかわす寸前、カツラスキーが右肩を入れて僅かに腕を伸ばし、ベラマッチャは顎を殴打されてしまった!
「げぇッ!」
ベラマッチャはその場で腰を落とし、両膝を付いた。サイコロジーを用いたおかげでクリーンヒットは免れたが、予測を超えるカツラスキーの拳闘の技にベラマッチャは脳震盪を起こして立ち上がる事が出来ず、驚愕の表情でカツラスキーを仰ぎ見た。
陽光を背に立つカツラスキーは、口元を歪ませてベラマッチャを鼻で笑っている。
「ひえぇ……」
ベラマッチャが横目で見ると、隣にいるヘンタイロスも驚きで声を無くしている。ヘンタイロスは腰が抜けてしまったのか、ヘタリ込んだまま茫然自失の顔でカツラスキーを見上げていた。
「フフフ……。職人の技で丹念に仕上げた魔ヅラの威力、思い知ったか。職人の念が宿り、髪型の参考にした人間の持つ力が得られる我が魔ヅラ、貴様等如きが対抗できる代物ではない。無駄な足掻きは止めて大人しく地獄へ落ちる事だ」
ベラマッチャたちを見下しながら話すカツラスキーに、横にいるヘンタイロスが賛意を示しながら膝立ちのまま近付いた。
「ほっ、本当にアンタの魔ヅラは無敵だわん。お願いよん、ワタシを殺さないでん」
なんとヘンタイロスは、ベラマッチャが見ている前でカツラスキーの足元に平伏し、靴を舐め始めたではないか!
「ヘッ、ヘンタイロス君……」
驚くベラマッチャが再びカツラスキーを見ると、カツラスキーは足元のヘンタイロスを見下したまま声を掛けた。
「ほう、貴様は多少分別があるらしいな。カツラに忠誠を誓い、私の手先として働くなら考えてやらなくもない」
ヘンタイロスは媚びた目でカツラスキーを仰ぎ見ると無言で頷き、カツラスキーのズボンの股間を開けて摩羅を取り出すと、舌を出して摩羅の先端を舐めだした。
「誓うわん。ワタシ、カツラに忠誠を誓っちゃうわん。自分の命が助かるなら親でも殺す。きっとそういうものなのよん、人生って」
そう言うとヘンタイロスは、カツラスキーの摩羅を口に含み、しゃぶり始めた。
勝手な理屈を振りかざしてカツラスキーの摩羅をしゃぶり始めたヘンタイロスを、ベラマッチャは呆然と見るしかできずにいた。
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