第二話 Teenage Robotomy 其の1
夜になり、ベラマッチャ達が夕食を食べ始めようとする頃、ポコリーノが戻って来た。
「ヘヘヘ、スッキリしたぜ! 俺のメシは?」
ポコリーノがベラマッチャの隣の席に着くと、ヘンタイロスがスープをよそい、正面に座っているポコリーノに手渡した。ポコリーノはパンを一つ掴むと、美味そうに頬張り始める。
「ウフフ……。ねぇんポコリーノ、一発で終わったのん?」
「クックック……余は貴様もスキモノと見たぞ。一発では終わるまい」
「それがクリスティーナの奴にせがまれて、帰る前にもう一発ヤッちまった。硬い木の摩羅は最高だってよ」
ポコリーノはヘンタイロスとシャザーン卿を交互に見ながら、楽しそうに答えた。
ベラマッチャはそんなポコリーノを横目で見ながら、性欲まで持っている事に感心し、改めてザーメインの魔術の凄まじさに驚嘆した。
「ポコリーノ君が女と交わる事が出来るとは、ザーメインの魔術は底が知れんな」
「フッ……俺だって溜まったら出さなきゃ気が狂っちまうぜ。葉っぱの無い俺の身体は、液体を出す場所は一箇所しか無えからな」
四人はポコリーノの風呂屋での快楽遊戯を聞きながら夕食を済ませ、カッパマントとサンドガサ・ハットを身に付けると、マラッコの屋敷を出て東ワグカッチの広場へ向かった。
歓楽街・ワグカッチの夜は賑わっていて当然だろうが、暴行族が暴れている為か人通りが全く無い。
厚い雲が月を隠し始め、今にも泣き出しそうな空の下を、四人は通りに面した家から洩れてくる明かりを頼りに広場へと歩いて行く。ゴーストタウンの様に静まりかえった街の中で、聞こえて来るのは野良犬の鳴き声だけである。
やがて前方が明るくなってくると共に、人の怒鳴り声や叫び声が聞こえ始めてきた。
四人は立ち止まり、小さな路地に身を隠すと互いの顔を見合わせた。
「諸君、既に広場は暴行族で一杯のようだ。先程も言ったが彼等は街の若者達だ。まず僕が説得してみよう。暴行族が改心して青年団になってくれればよいのだが」
「説得? 無駄だぜベラマッチャ。全員ブチのめしちまえば済む事さ」
「連中が話など聞く訳なかろう。ここは一挙に攻めるが上策じゃ」
「千人いるんでしょうん? ワタシ、乱闘なんて御免だわん。殴られたらお肌に悪いじゃないん? アンタ達だけでやってよん」
「ヘンタイロス君、心配は無用だ。彼等にも良心はあるだろう。まず、僕が説得してみよう。付いて来たまえ」
四人はベラマッチャを先頭に、広場へ向かって歩いて行った。
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