第五話 Frankenchrist 其の10
鼾と痛みを訴えるヅラスカヤの呻き声を聞きながら、ベラマッチャは一人もの思いに耽る。ヅラスカヤは何故、エージェントなどという危険な仕事に就いたのだろう? そんな事を考えていると、なかなか眠れない。
やがて明け方になり、考えを巡らせる事に疲れたベラマッチャは起き上がり、ベッドに縛り付けられているヅラスカヤのシーツを剥いだ。
「うぅッ……痛い……。痛いよぅ……」
苦悶するヅラスカヤの顔を見ていると、ベラマッチャの紳士としての誇りが揺さぶられる。レディが困っている時、紳士は身を挺して助けるものだ。
「レディ、痛みで眠れんのかね? 早く吐いたほうが君のためだ」
ベラマッチャはベッドに上がり、せめて痛みを和らげてやろうとヅラスカヤの脚の間に座り、股間を舐め始めた。
貪る様にヅラスカヤを舐めるベラマッチャの頭の中は、女の身体への欲望で一杯になっている。
口では『君のため』と言いながらも、女の強烈な匂いを嗅いでるとベラマッチャの男に力が漲りだす。
股間から溢れ出て来る愛液を舐めるベラマッチャは辛抱できなくなり、痛みで呻くヅラスカヤの股間に再び摩羅を突き立てた。
紳士として、せめて痛みを和らげてやろうと思ったベラマッチャだったが、雄の本能には抗えず、自身の欲望を果たす事を優先してしまったのである。
「うぅッ! 出る!」
またもや呆気なく放出したベラマッチャは、萎えない怒張を挿入したまま二回、三回と立て続けに放出し、四度目の放出を目指して腰を動かしていると、シャザーン卿たちが起きてきた。
「フッフッフ……。ベラマッチャさん、もう尋問開始かい?」
「朝から『精』を出しとるのう」
「ケッ! 女相手にだらしがねえぜ! まだ下の口しか割ってねえのか?」
「ウフフ……。ベラマッチャもスキモノだわん」
皆が見守る中、腰を動かすベラマッチャだったが、流石に四度目ともなると、すぐ放出できない。早く終わらせようと、ベラマッチャが摩羅を根元まで打ち込んだ時、ヅラスカヤが呻き声をあげて横を向いた。
「うげぇッ!」
ベラマッチャが腰の動きを止めると、ヅラスカヤは横を向いたまま嘔吐している。
驚いて怒張したままの摩羅を抜き、ベッドから降りたベラマッチャの耳に、ヘンタイロスの叫びが轟いた。
「ア……アンタまさか身篭ってるんじゃないのん!?」
ヘンタイロスは手ぬぐいを持ってベッドに近寄ると、ヅラスカヤが吐いた汚物を綺麗に拭き取った。
「アンタ、妊娠してるわねん? 父親は判ってるのん?」
ヅラスカヤは小刻みに震えながら小さく頷くと、瞼を閉じた。
ヘンタイロスは、ヅラスカヤの目から溢れる涙を拭い取ると、ベラマッチャたちへ向き直り大声をあげた。
「これ以上責めるのはワタシが許さないわん!」
両腕を広げて仁王立ちするヘンタイロスが、ベラマッチャの目には異形の神の様に映る。
「身篭っているのでは仕方があるまい」
一瞬の間を置き、ベラマッチャはヘンタイロスに同意する事にし、シャザーン卿、ポコリーノ、パンチョスを見回した。
「ケッ! 子供に罪は無えからな」
ポコリーノは眉間に皺を寄せて吐き捨てるように呟くと、ヅラスカヤに近づいて話しかけた。
「子供のためにも吐くことだぜ」
天井を見上げて頷くヅラスカヤの目から、一滴の涙が零れ落ちた。
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