第一話 Violent World 其の4
部屋へ戻ったベラマッチャとポコリーノは、シャザーン卿とヘンタイロスが帰って来るのを待ち、暴行族をどのように大人しくさせるか話し合う事にした。
「ポコリーノ君、暴行族とやらを大人しくさせろと言うが、殴ったくらいで彼等が素直に言う事を聞くと思うかね?」
「人間、死ぬほど痛い目に遭わせれば、言う事を聞くようになるさ」
ポコリーノは床の上にゴロリと寝転び、興味なさそうに答えた。喧嘩屋のポコリーノからすれば、楽な仕事なのだろう。
だがベラマッチャは、ポコリーノの楽天的な答えに一抹の不安を感じた。若者たちが相手とはいえ、稼業人にまで喧嘩を売るような連中なのである。
そうこうしているうちに、シャザーン卿とヘンタイロスが帰って来た。
「ただいま~ん!」
シャザーン卿とヘンタイロスは、部屋へ入るなりベッドに座り、上気した顔で風呂屋でのスペクタクルな体験を話し始めた。
「クックック……貴様も好きじゃのぅ。湯女の責めと余の鞭で四発も発射しおって」
「アンタこそ、嫌がるキャサリンちゃんをしつこく責めて、失神させてたじゃないのよん。あ~あん、風呂屋って本当に良いわねん。ウツロの森が心の故郷だとしたら、風呂屋は身体の故郷だわん。ウフフッ……」
今だ興奮冷めやらぬシャザーン卿とヘンタイロスを交互に見て、ベラマッチャは申し訳ないと思いながらマラッコの頼み事を伝えた。
「シャザーン卿にヘンタイロス君。風呂屋で楽しんだ直後に申し訳ないが、マラッコの親分とワグカッチの顔役から仕事を頼まれとる。余韻に浸っている最中にすまんが、僕等の話を聞いてくれたまえ」
ベラマッチャの言葉に、二人は不思議そうな顔で振り向いた。
「マラッコの親分から? 仕事ってなんなのん?」
「渡世人に仕事を頼むとは、穏やかな話じゃなさそうじゃのう」
「むぅ、実は親分と顔役から、この街の暴行族を大人しくさせて欲しいと依頼されとる。凶暴な若者たちで、最近では稼業人にまで喧嘩を売るらしい」
ベラマッチャの話に、ポコリーノが割って入った。
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