第七話 Head On A Pole 其の6

カツラ大戦争

 カツラスキーは、意識を失って倒れているポコリーノを見てニヤリと笑っている。

 ベラマッチャとヘンタイロスは、呆気ない幕切れに呆然と立ち尽くし、意識を失っているポコリーノを見つめるしか出来ないでいた。

 シャザーン卿が言う『クロスカウンター』なる技を決めたカツラスキーは、ポコリーノからシャザーン卿に視線を移すと、口元を歪ませながら喋り出した。

「史上最強と言われる拳闘士、ホラメド・アリの得意技だ。驚く事はあるまい」

 カツラスキーはポコリーノの身体を跨ぎ、鞭を構えたまま立っているシャザーン卿に一歩、二歩と近づき始めた。

 シャザーン卿は鞭を構えながら、近づいて来るカツラスキーの歩に合わせて後退して行く。

 やがてシャザーン卿の背後に墓穴が迫り歩みが止まると、カツラスキーが突然怒鳴りだした!

「馬鹿者! 貴様、盗人なんぞに成り下がりおって! 親が泣いとるぞ!」

 カツラスキーの声は老人の如くしゃがれた声に変わり、シャザーン卿は身体をビクンと震わせ、手に持っていた鞭をポロリと落とした。

「そッ、その声は……」

「軽業の術をなんと心得る! 貴様に軽業を伝授したのは盗人にするためではないぞ!」

「おッ、お師様……」

 なんと声はシャザーン卿の軽業の師匠らしい。シャザーン卿は驚きの表情でカツラスキーを見つめ、口を半開きにしている。

 カツラスキーは、立ち尽くすシャザーン卿に歩み寄ると突如素早く動き、シャザーン卿の顔面に右の拳を放った!

「げぇッ!」

 カツラスキーが放った一撃にシャザーン卿は防御も儘ならず、白目を剥いて墓穴の中に落下した。





カツラ大戦争

Posted by Inazuma Ramone