第五話 Frankenchrist 其の1
ベラマッチャがロープを渡すと、シャザーン卿はヅラスカヤの衣服を全て剥ぎ取り、亀の甲羅模様のような形で綺麗に身体を縛りつけた。続けて手首に縛ったロープをベッドの両側の脚に括り付けながら、ベラマッチャに指示を出した。
「ベラマッチャ、両脚を折りたたむんじゃ」
ベラマッチャがヅラスカヤの両脚を折りたたむと、シャザーン卿は脚が伸ばせないように太股と脛を器用にロープで縛り、腕と同じくロープの先をベッドの脚に固く縛った。
ベラマッチャはシャザーン卿の見事な緊縛術に感心し、縛られたヅラスカヤの頭の先から爪先までを眺め回した。
「シャザーン卿、見事な緊縛術だな」
「フン、縛るのは余の得意とするところよ。それより、ヘンタイロスたちに喝を入れてくるんじゃ」
あまりに見事な緊縛に見惚れていたベラマッチャは、ヘンタイロスたちが失神している事を思い出し、慌てて駆け出した。
ヘンタイロスとパンチョスの面を剥いで喝を入れ、続けてポコリーノに喝を入れてみたが、どうしてもポコリーノは目覚めない。
やはり木人への喝入れは違うのか? とベラマッチャが思案していると、パンチョスとヘンタイロスが腫れあがった顔を顰めさせながら、ベラマッチャの元へ来た。
「ケッ! 魔ヅラに操られたとはいえ、さんざん殴りやがって!」
「そうよん! ワタシ、こんな顔じゃ外に出られないわん!」
ヘンタイロスとパンチョスは、殴られた恨みを晴らすかのように、ベラマッチャの目の前でポコリーノを足蹴にし始めた!
「まあまあ諸君、待ちたまえ。ポコリーノ君だって、好きで君等を殴った訳ではないのだ」
「ワタシが防御しなかったら、殺人パンチで殴り殺されてたのよん!」
「ベラマッチャさん! ヘンタイロスの言うとおりだぜ! 俺たちは殺されかけたんだ!」
驚いたベラマッチャが止めに入ったが、二人の怒りは収まらない。ヘンタイロスとパンチョスはベラマッチャを押しのけ、執拗にポコリーノを蹴り続けている。ベラマッチャはどうする事もできず二人の行為を見ているしかなかったが、やがて怒りが和らいできたのか、ヘンタイロスとパンチョスはポコリーノに唾を吐きかけて蹴るのを止めた。
ベラマッチャは幸いとばかりに、二人に向かって話しかけた。
「諸君、ヅラスカヤは捕らえてベッドに縛り付けとる。これから、ヅラ師が何処にいるのか尋問しようではないか」
「なんだって!」
「ヅラスカヤを捕まえたのん!?」
ベラマッチャは頷き、顎でシャザーン卿の方を指し示した。
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