Autographic 第二十話:傷跡
車内が暑くなってきたところで少し窓をあけると、むせ返すような緑と土の匂いが車内に入ってくる。後ろを見れば、狭い車内で重なり合うロボたちは、時たま下になった犬が苦しそうに顔を出し、体勢を入れ替え上に出てきたりを繰り返していた。 ...
Autographic 第十八話:生命
新井さんが鹿の腹を狩猟刀で切り裂くと、生臭さを纏った内臓がドロリと出てくるとともに大量の血が流れ出てくる。それをおじさんが、右側にいる猟犬たちと左側のロボの前に投げ置いた。
ロボと猟犬たちは内臓に食らいつき、尻尾を振り ...
Autographic 第十七話:獲物
おじさんの犬はゴローとハナ、新井さんの犬はジョンとキース。四匹の猟犬に負けないような名前を考え始めたものの、なかなか良い名前が浮かんでこない。それも当然だろう。野犬は体こそ大きいものの毛並みに艶がなく、換毛期ということもあり見た目が ...
Autographic 第十六話:猟犬
「秀人! 突然いなくなったから心配したぞ!」
おじさんと新井さんが、猟銃を肩に掛けたまま凄い顔で近付いてくる。見ると、立ち止まって野犬を見ていた猟犬たちも、おじさんたちが来たら尻尾を振って動きはじめた。
「お ...
Autographic 第十二話:遭難
横も後ろも正面も、周りは樹木が生い茂り薄暗い。よく晴れた五月の午前中だというのに、太陽の光が半分くらいしか届かないようで肌寒さすら感じる。
僕の前にはおじさんと新井さん、その先にはゴロー、ハナ、ジョン、キースの四匹が歩 ...