夢幻の旅:第二十三話

――救急車の通過を知らせる、騒々しいアナウンス。
けたたましく鳴り響くサイレンに叩き起こされて目を開くと、カーテンで仕切られた病室のベッドの上で寝ていた。
(そうだ、店で倒れて入院させられたんだ……)
Autographic 第二話:虚無

空っぽのまま生きてる屍のような今の僕には、どんな慰めの言葉も気分転換も無意味だ。明日の放射線治療も投薬治療も、僕の心を前向きにすることはない。僕の体はこのまま衰え、死に向かってひた走っているんだから。
「大舘さ~ん、検温 ...
――救急車の通過を知らせる、騒々しいアナウンス。
けたたましく鳴り響くサイレンに叩き起こされて目を開くと、カーテンで仕切られた病室のベッドの上で寝ていた。
(そうだ、店で倒れて入院させられたんだ……)
空っぽのまま生きてる屍のような今の僕には、どんな慰めの言葉も気分転換も無意味だ。明日の放射線治療も投薬治療も、僕の心を前向きにすることはない。僕の体はこのまま衰え、死に向かってひた走っているんだから。
「大舘さ~ん、検温 ...