創作長編小説

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 博物館の前にある土産物屋の横へ行き、木に繋いであった犬たちを駐車場に連れて行こうとすると、三匹の犬がいない。きっとおじさんが連れていったんだろうと思い、一人で駐車場へ向かった。

 階段を降りながら料金所を見ると、おじさん ...

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 お守りをジーンズのポケットにネジ込み、神楽殿の横を通って参道を進む。参道は、両脇に生い茂る多くの木から漏れる光が、所々木漏れ日を作っている。痛い脚を引きずりながら、ニホンオオカミの毛皮を見るため僕は急ぎ足で歩く。

 緩や ...

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 小学校三年生のとき、秋の旅行で来た三峯神社。犬たちを店の横にある木に繋ぎ、おじさんの後を歩いてお土産に木刀を買った鳥居前の土産物屋に入っていくと、あの時ここで、友達みんなで味噌おでんを食ったことを思い出してしまう。

 そ ...

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 僕は新井さんの姿が見えなくなるまで手を振り続けたが、車がカーブを曲がったところで大きく深呼吸して山の空気を吸い込んだ。

 窓を閉めて午後の日差しが降り注ぐ空を見ていると、隣からおじさんの声が聞こえてくる。

「 ...

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 翌朝、起きてすぐおじさんが作ってくれたおにぎりを食べ、薬を何錠も飲んで歯磨きと洗顔を済ませて着替え、猟で使う道具を軽ワゴン車に積み込み、ゴローとハナを檻から出して車の荷室へ乗せて僕も車に乗る。

 おじさんが運転席に着座し ...

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 おじさんの家の裏手にある坂を下り、三分くらい歩いたところに赤平川は流れている。初夏の日差しを浴び、緑が濃くなっていく鬱蒼とした森を抜けると、薄暗い視界が急に開け明るく太陽が輝く川へ出た。

 ゴールデンウィークも終わった五 ...

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 母さんとおじさんが蕎麦を食べ終えると、お茶を飲みながらしばらく三人で雑談して店を出た。おじさんの子供の頃からの友達である蕎麦屋の主人が、女将さんと外まで出て笑顔で僕らを見送ってくれる。僕も主人と女将さんに挨拶して車に乗りこんだ。

雑記帳:読むな! 呪われるぞッ!

三峯神社本殿

雑記帳:読むな! 呪われるぞッ!

 父方の伯母に頼まれ、成年後見人の手続きをしようと思い親族に同意書を送ったのだが、反対者が出て手続きが頓挫している。

 非常に恥ずかしい話なのだが、反対している者たちは俺が伯母の財産を使い込むのではないかと思っているらしい ...