創作長編小説

夢幻の旅

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「良美、売店で水を買ってきてくれないか」

 俺はベッドに横になったまま、クローゼットに荷物を収納している良美に向かって、水を買ってきてくれるよう頼んだ。

 昨夜からの水分補給が朝食の味噌汁と水だけのためか、喉が ...

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夢幻の旅

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 ――救急車の通過を知らせる、騒々しいアナウンス。

 けたたましく鳴り響くサイレンに叩き起こされて目を開くと、カーテンで仕切られた病室のベッドの上で寝ていた。

(そうだ、店で倒れて入院させられたんだ……)