夢幻の旅:第十一話
翌朝、目を覚まして出社したものの、どうやって蛍のことを話そうか頭がいっぱいで仕事が手につかない。大事な話だし繊細な事柄なので、良美を怒らせないよう慎重に事を進ませたい。
昼休みに健康診断を受けた病院へ電話し、糖尿病検査 ...
夢幻の旅:第九話
あの水晶のチョーカーは今でも身に付けている。良美の手前、名前を彫ったタグは取ってしまったが、俺が気に入って作ったんだし毎朝身に付けることが習慣化してしまっていた。
右手で涙を拭いながら立ち上がり、夕闇の中を駐車場まで歩 ...
夢幻の旅:第八話
――お父さん? なに言ってるんだ、この娘は……。
突然の事で頭が混乱して言葉が出てこない。あたりまえだ、俺に子供はいないんだから。
もしかしたら、この娘は頭がおかしいのかもしれない。いや、ひょっとしたら新 ...