第二話 Big Women 其の10
彼女は物心ついた頃に母親とともに風呂屋へ売られ、風呂屋で生きていくため、幼いころから男を喜ばせる性技を身に付けざるを得なかったのだ。よく見れば顔は整っており美人といって差し支えない。スラリとした身体は出るところは出ており腰はキュッと ...
第二話 Big Women 其の9
「フフッ……訳が分からないって顔してるね。あんた、名前は?」
シャブリン・ローズに言われ、名乗ってなかったことに気づいたベラマッチャはハッとし、紳士としての己を取り戻して恭しく名乗りはじめた。
「レディ、名乗 ...
惑星ブルース:再開編
「よお、ベラマッチャ! 久しぶりじゃねえか。酒でも飲みにきたのかい? へっへっへ……どうだい? 転職後の生活は?」
アンソニー・ベラマッチャは、ポロスの街にあるポコリーノが不法占拠中の空き家に来ていた。そこには、シャザー ...
Heaven Sent:あとがき
拙著「Heaven Sent」をお読みいただき、ありがとうございます。
もともと小説を書き始めたのは、映画を見に行った帰りに夫婦喧嘩になったのが始まりでした。ロード・オブ・ザ・リングというファンタジー映画を見に行き、面 ...
Heaven Sent:第二十四話(最終話)
夢で見るだけだと思っていた光と声が、なぜ真昼の店内に出現したのか分からない。だから混乱した。光の中から人が現れ、しかもあの声が「仲良くしろ」と、今まで見た夢とは違うことを言ったのだ。
でも俺はすぐ、この篠塚由樹という女 ...
Heaven Sent:第二十三話
課長の配慮で二月から店舗で勤務することになったが、やっぱり体を動かして働いてると嫌なことを思い出す機会が少ない。本部でデスクワークをしてるより精神的に楽だし、なにより自分で売り場を作るのが楽しいし商品が売れると励みになる。最初は本部 ...
Heaven Sent:第二十二話
途中でコンビニに立ち寄り弁当でも買おうと思ったが、どうにも食欲が湧いてこない。まあいい、腹が減ったらファミレスにでも行けば済むことだ。そのままアパートの駐車場まで行き、出入口横の自動販売機で缶コーヒーを二本買い、部屋戻った。 ...
Heaven Sent:第二十一話
俺の涙で濡れた離婚届の上に理恵子の涙が重ねて落ち、二人の署名が滲んでいく。その離婚届を理恵子が拾い、代わりに通帳や印鑑を置き、頬を涙で濡らしたまま無言で部屋から出ていった。理恵子の後ろ姿を目で追いながら、心に空いたブラックホールのよ ...
Heaven Sent:第二十話
離婚しようとしてる相手の金を勝手に使うなんて考えられないし、勝手にアパートの連帯保証人にされたのだって信じられない。そんなの、たとえ夫婦でも有印私文書偽造じゃないか。なにより、親父とお袋が援助してくれた金が入っていた口座は、両親から ...
Heaven Sent:第十九話
もしかしたら服や本の間、CDの間に紛れ込んでいるかもしれない。そう思って全ての荷物を取り出して確認するものの、預金通帳も印鑑も入ってない。ダイニングに置きっぱなしになっている何個ものゴミ袋の中や、置いてあるはずのないキッチンや玄関ま ...