創作長編小説

創作長編小説

 もしかしたら服や本の間、CDの間に紛れ込んでいるかもしれない。そう思って全ての荷物を取り出して確認するものの、預金通帳も印鑑も入ってない。ダイニングに置きっぱなしになっている何個ものゴミ袋の中や、置いてあるはずのないキッチンや玄関ま ...

創作長編小説

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 実家からアパートへ戻る途中でコンビニに立ち寄り、夕食の弁当とビールを二本買った。荷物を片付けるのに手間がかかりそうなので、途中で作業を中止したくなかったのと、短期間とはいえ、理恵子と二人で暮らした住まいになるべく長くいようと思ったか ...

創作長編小説

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 自室に籠ってゴロゴロしてると惨めな自分の姿しか浮かばないので、どんどん鬱になってくる。それでも何もする気にならないし、このまま夜まで過ごしてしまおうかとも思ってしまう。部屋の窓に目をやると信号機があの時と同じように青、黄、赤と変わっ ...

創作長編小説

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 自分の人生を他人の人生と比べるなんて、とっくに止めてる。人様を羨むより、あきらかに人より恵まれてない自分の人生、明日どうなるかなんて考えず今を生きよう、昨日より今日を良くしようと生きてきた。だけど今の俺の在りようはどうだ? 日々悪く ...

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創作長編小説

 ――結局あの後、目が覚めたら朝になっていたので、あの出来事が現実だったのか夢だったのかは未だ分からない。でも、言われることは違っていても、今もあの光と声の夢を見続けているので夢だったのかとも思う。そのことも含め、過去を振り返りながら ...

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 自室に戻って照明の豆電球だけは点けたままベッドに飛び込み、恐怖でエンジンブローしそうなほど高鳴っている心臓の鼓動を感じながら、タオルケットを頭まで掛けた。神社の御神木といいチャイムが鳴ってるのに誰もいないことといい、今日の出来事は絶 ...

創作長編小説

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 友達の後を追いかけて必死に走っていると、鳥居の手前で何者かに右肩を掴まれ引き倒されそうになったが、俺たち以外に人がいる訳がない。恐怖から逃れるように走りながら頭を左右に振り、公民館の手前でやっとケンに追いついたが、誰も別れの挨拶なん ...

創作長編小説

創作長編小説

 神社の前に来た俺たちは鳥居の前で立ち止まり、誰からともなくペコリと頭を下げた。こういった仕来たりや礼儀作法には、なぜかゴリがうるさい。

「みんな、鳥居の真ん中通るなよ」

 ジメジメして体に纏わりつくような夜の ...

創作長編小説

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 ――夜十一時三十分、家の中から物音が聞こえなくなり静かになった。家族は全員床に就いたようだ。スウェットからジーンズとTシャツに着替え、カメラと家の鍵を持ってそっと階段を降りて行った。

 廊下も玄関も真っ暗で父と母も寝てし ...

創作長編小説

創作長編小説

 目が覚めると部屋の中が薄暗くなっており、首や腕、脚のあちこちが痒い。小説を読んでたはずなのに、いつの間にか寝てしまったようだ。窓は全開のままだしTシャツに短パンじゃあ、蚊に刺してくれって言ってるのに等しい。痒くなって当たり前だろう。 ...