創作長編小説

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 お喋りを続ける女二人を引き連れ、ビルの谷間を歩いて会社へ向かう。

 後ろを歩く安田さんと馬場さんは、相変わらず俺の顔のことで盛り上がっており、どんな服が似合うか話している。

 俺の私服なんて革ジャンにジーンズ ...

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 人事部で書類を訂正して会議室へ戻り、桑原課長促うながされて席に着く。人事部から、会社の組織がどうなっているのか説明するらしい。

「日本データサービスは、銀行や証券会社のコンピューターシステムを開発するソフトウェア会社です ...

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 気怠けだるい午後の昼下がり、帝釈天と柴又駅の間を通る道を、春の日差しを浴びながら昨日とは反対方向に歩く。

 ガソリンスタンド、コンビニ、焼き肉屋、埼玉の実家付近では絶滅してしまった畳屋も営業している。

 散歩 ...

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 アパートへ来るときに通った道を高砂方面に向かい、駅前にあった大型スーパーを目指す。

 昨日は気付かなかったが、高砂駅へ行く途中の踏切手前に蕎麦屋を見つけた。好きな食べ物だし、今日の昼飯は決定だ。

 大型スーパ ...

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 アパートを出て右に行くと少し大きな通りに出る。

 その通りを左へ曲がり少し行くと、右側には有名な映画で何度も見た帝釈天の参道が現れ、左側には、失恋した主人公が大きなトランクを持って旅に出る柴又駅があった。

( ...

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 荷物を詰めたバッグを持ち、まずは不動産屋から鍵を預かっている銀座の伯父の店へ向かう。

 山手線の新橋で下車し、歩いて銀座へ。

 伯父の家は銀座といっても外れにあり、新橋に近い。昔は木挽町といい銀座じゃなかった ...

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 駅までの道のりで一本吸い、銀座線で上野まで行きアメ横へ向かう。

 地下鉄の中でも降りてからも、判で押したように若い男はソフトスーツ、若い女はワンレンかトサカ前髪で肩パットが入ったボディコン。聞こえてくるのは笑い声ばかり。 ...

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 一月半ば、高校卒業を目前に控え、まだ進路が決まってなかった俺は、親や教師に将来のことを考えるよう言われるのが嫌で、学校帰りに本屋へと足を向けた。

 就職情報誌を適当に開いて目に入った求人欄の電話番号を覚え、家に帰って電話 ...

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「こんなに早く亡くなるなんて……」

「光平、迷わずお父さんのところへ行くんだよ」

 八月二十日、身内だけで光平さんの四十九日法要を行い、お義父さんが眠る墓への納骨を終えた。

 荼毘だびに付してもらう ...

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 そんな気配を感じながら、放射線治療に投薬治療が続く毎日。

 ひどく体が痛むときは鎮痛剤の医療用モルヒネを処方され、頭がボゥッとしてしまい意識を保つのも難しい。

 ベッドに寝てるだけでも体中が痛い。特に背中の、 ...