出版業界の崩壊

雑記帳:読むな! 呪われるぞッ!

 出版危機と言われて久しい。もう二十年以上になるだろうか。若者はマンガすら読まなくなっているし、大手取次(本の問屋を取次という)の日版は、今ごろ社長が非常事態だと言いだし、トーハンに至っては現社長就任時の言葉が、「一致団結して街の本屋さんがやっていける態勢をつくっていくことが私の使命」と、トンチンカンなことを言う始末である。

 中堅取次の栗田は破綻して大阪屋と合併、株主である大手出版社から経営者が送られたが、金融と物流が主流業務の取次の再生に出版社経営が役立つわけもなく、早々に音を上げ楽天に売却。大阪屋栗田は運良く? IT関連企業に生まれ変わった。

 CD・DVD・ゲームなどのパッケージメディア市場が縮小していく中、TSUTAYAは対自治体・対企業のBtoB型ビジネスに舵を切って採算が合わない小売店の閉店を加速させ、GEOはリサイクルショップの展開を進めて業態転換を急いでいる。雑誌・書籍もCDやゲームに負けず市場が縮小しており、雑誌の売上はは前年比8.5%減、書籍は11.8%減と落ち続け、全国の書店は十年前に比べ四千店も減っているのだ。

 こんなことを書いてると俺の商売がバレてしまうが、末端の小売店も深刻である。某出版社の営業が来れば冊数ばかり入れようとするし、取次の営業が来れば返本率の話ばかり。十年前は映画化された作品やドラマ化された書籍しか売れない状況だったが、現在はそれすら売れるのが一瞬に近くなり、何が売れるのか分からない状態だ。売れるのが一瞬状態は、村上春樹の「騎士団長殺し」でも変わらなかった。

 おまけに店頭に立てば、「アルバイトがマニュアルどおりのことしか言わず気が利かない」というだけで三十分もクレームを受け、予約締め切り後に注文にきて、「なぜ予約できない!」と怒鳴り散らし、嫌気が差したアルバイトが辞めてしまったりして慢性的な人員不足。粗利が薄い商売なので周辺他業種と比べて時給も低く、アルバイトを募集しても応募がない。当たり前だ。時給は低いし、商品とは関係ないちょっとしたことで客から怒鳴られる。しかも「お客様だから」というだけで、理不尽な怒りを向けられても我慢しなければならない。若い学生など「こんな給料でやってられるか!」と思うに決まってる。

 取次と大手小売りは業態転換を急ぎ、出版社は電子書籍に活路を求めている。我々弱小書店は沈んでいく船に取り残され、本と運命を共にするしかないのだろうか? この仕事を長年やってきて、今ほど何をすればいいのか分からない時期はない。もはや出版不況などという言葉では言い表せず、出版業界は解体期に入ってるとしか思えない。

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