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第4回ツギクル小説大賞で、当サイトの作品「夢幻の旅」が奨励賞を受賞しました。
管理人:Inazuma Ramone

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第一話 Knife Edge 其の1

オカマ地獄変

 人間とケンタウルスのハーフでありオカマのヘンタイロスは、途方に暮れながらポロスのポコリーノの家に戻って来た。

 家の外には汚い字で『喧嘩売ります』と書かれた幟が立ててあり、人の居る気配がない。ヘンタイロスは幟を一瞥すると溜息をつき、扉を開けて家の中へと入って行った。

 案の定、室内は無人であり、苛立ったヘンタイロスは大声で喚き散らした。

「あぁん! ポコリーノったらん! こんな時に何やってるのよん!」

 ヘンタイロスはイライラしながら部屋の中をウロつくが苛立ちは収まらない。それどころか不安は大きくなるばかりである。頭を抱えてベッドの上に寝転がったと思うとすぐ立ち上がり、今度は部屋の柱を殴りつけて再びウロウロし始めた。

 ブツブツと何事かを呟きながら頭を抱えて知恵を絞るが、いい知恵は浮かばない。当初はザーメインに相談しようと思ったが、常日頃から『金だけは当てにするな』と言われていたので、今回の件は相談し辛い。何しろ事は金が絡んでいるのだ。渡世人の自分たちが大金を持っている筈はなく、工面できる当てもない。

 イライラしながらポコリーノを待つ時間が、恐ろしくゆっくり流れるように感じる。不安と緊張に押し潰されそうになったヘンタイロスは、とうとう耐え切れなくなり外へ飛び出した。

「ポコリーノのバッカァ~ん! いつまでワタシを待たせるのよん!」

 ヘンタイロスは通りの真ん中まで行き大声で叫んだ。言いようのない不安と緊張が、ポコリーノの情夫になった訳ではないヘンタイロスに叫ばせたのだ!

 心臓の鼓動が高鳴り、大きく息を吐いたヘンタイロスは街の人々の注目の視線を感じ、眉間に皺を寄せながら投げキッスをすると、荒々しく扉を閉めて家の中へ入って行った。

叫べば不安と緊張が和らぐかと思いきや、それは益々増大してくる。そしてヘンタイロスの苛立ちは、この問題とは関係ないポコリーノへ向けられていた。

 喧嘩の腕を売り生計を立てているポコリーノは混乱した時勢もあり、喧嘩屋の商売が繁盛していた。K.G.B.との激闘の後、カルロス・パンチョスは賭場で散在して賞金稼ぎの旅に出、ヘンタイロスたちはポロスに戻りポコリーノの家に居候を決め込んだ。

 博打で常に勝ち続けられる訳もなく、負けるとポコリーノは喧嘩屋稼業に、シャザーン卿は盗みを、ベラマッチャは街の外で狩をして食料調達に精を出していた。

 唯一人、なんの稼業も持たないヘンタイロスは、皆に申し訳ないと思いながら賭場通いと風呂屋通いに精を出した。ポコリーノへ向けられる苛立ちは、そんなヘンタイロスの心の裏返しなのであろう事は想像に難くない。

 苛立つヘンタイロスが室内をウロついていると、扉が開き誰か入って来た。

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オカマ地獄変

Posted by Inazuma Ramone