第二話 Big Women 其の2

2017年11月8日オカマ地獄変

「ケッ! 何が根拠の無い考えだ。鏡を見た事がねえのかよ!」

店主は頭を抱えたまま吐き捨てると溜息をついて立ち上がり、ベラマッチャに顔を向けた。苦虫を噛み潰したような顔からは怒りにも似た感情が滲み出ており、その感情がベラマッチャに向かっている事は容易に想像できる。ベラマッチャは店主の態度に少し驚き、顔を強張らせた。舐め犬如きなど誰にでもできる容易な仕事だと思っている自分には、店主の怒りが理解できない。

 ベラマッチャが下を向くと、店主が再び口を開いた。

「この仕事をナメてやがるな? 顔が良いか、余程の技を持ってなきゃ客は付かねえんだ! お前の顔は既に不合格、後は女を狂わす技のほうだが……。女に不自由してきた人生だってえオーラを全身から発散させてるぜぇ、お前はよ。ここじゃ客から指名されなきゃ飯が食えねえぜ?」

 店主の言葉にベラマッチャはギクリとした。生まれてこの方、女にモテた事などない。女の味を知ったのもK.G.B.の股ドール、ヅラスカヤを犯したのが最初だった。王子として厳しい躾を受けたベラマッチャは、結婚するまで性交渉をしてはいけない、という父母の教えを頑なに守ってきたのだ。読んで字の如く、舐め犬とは女の身体を舐め回せばよいと思っていたベラマッチャは急に不安に苛まれ、店主の顔をジッと見つめた。

「フッフッフ……。やっとしおらしくなってきやがったな。まずは入店前の身体検査だ。マワシを脱いで全裸になれ」

 言われるままマワシを脱ぐと、店主はベラマッチャの正面にしゃがみ摩羅をチェックしはじめたのだ。

「病気はなさそうだな。だが思ったとおり粗末な摩羅だ。顔も技も摩羅もダメとなると、ひと月持つかどうか……。まずは一度やらせてみるか」

 羞恥に顔を赤らめるベラマッチャは目を瞑り耐えたが、店主のチェックは見ただけでは終わらない。手に取り包皮を剥き二重三重のチェックが入る。やがて店主は立ち上がりマワシを付けるよう言うと、ベラマッチャに店内の規則を説明し始めた。

「俺の事はオヤジ様と言え。スモウで言う親方の事だ。客は舐め犬を指名できるが、舐め犬は客を指名できねえ。要するに客の選り好みをするなって事だ。客とは風呂付の個室でプレイする。プレイスタイルは千差万別だが、客の意に沿ったプレイを心掛けろ」

 店主が顎をクイッっと動かし、ベラマッチャに付いて来るよう促すと、二人は扉を開けて部屋を出て行った。


2017年11月8日オカマ地獄変