第八話 Give It Up 其の6

2017年11月8日カツラ大戦争

「諸君、マラッコの親分がカツラスキーに組していたからといって、天誅を下していいものかね? 彼はイザブラー親分の兄弟分だ。事と次第によっては、僕等はイザブラー親分まで敵に回してしまう事になりかねんぞ?」

 ベラマッチャの言葉にシャザーン卿がヘンタイロスを止め、くるりと後ろを振り向いた。

「余も貴様と同じ事を考えておった処よ。余らがマラッコに謀られたとしても、怒りに任せてマラッコを誅すればイザブラー親分と事を構えるやもしれん。だが余らは既に、マラッコと結託したカツラスキーを退けてしまったではないか。もはやマラッコと事を構えてしまったと言っても過言ではあるまい」

 シャザーン卿の言葉に一同は下を向き沈黙した。確かにマラッコはイザブラーの兄貴分であり、自分たちはマラッコと組んだカツラスキーを倒して王宮とマラッコの野望を打ち砕いてしまったのである。

 おそらく今頃マラッコは、暴行族が自分たちを始末するとの目論見が外れ、次の一手を相談しようとカツラスキーを探しているに違いない。だがカツラスキーは自分たちが倒してしまったのだ。マラッコがカツラスキーとコンタクトを取れず、姿の見えない自分たちを疑うのは容易に想像できる。

「ケッ! 兄弟分といってもイザブラー親分じゃねえんだ! マラッコはイザブラー親分の身内の俺たちを始末しようとしたんだ! ケツの穴のデカイ男だぜぇ、イザブラー親分は。マラッコの野郎を殺っちまっても、その事を話せばイザブラー親分は分かってくれるに決まってるぜ!」

 下を向き思案するベラマッチャたちの耳に、ポコリーノの威勢のよい声が響いた。

 その声を聞き、ポコリーノの言うとおりかもしれないとベラマッチャは顔を上げて皆に話し始めた。

「諸君、ポコリーノ君の言うとおりかもしれん。イザブラー親分の身内である僕らは、マラッコの親分とカツラスキーの陰謀により殺されかけた。もし僕らがマラッコの親分を倒す事になっても、イザブラー親分は分かってくれるに違いない。そこで諸君、まずは顔役の家に向かわずにマラッコの親分の屋敷へ戻り、暴行族退治の報告をして様子を窺ってみるのはどうだろうか?」

「それがいいかもしれんのう」

「ベターな選択だぜベラマッチャよぅ」

「フッフッフ……。悪くないぜ」

「それしか無さそうねん」

 全員がベラマッチャの意見に賛同すると、ヘンタイロスの尻に鞭を打ち歩き始めたシャザーン卿を先頭に、再びワグカッチの街目指して歩きだした。


2017年11月8日カツラ大戦争