第七話 Head On A Pole 其の3

2017年11月8日カツラ大戦争

 カツラスキーは、陽光を浴びて光り輝く剃りあげた頭を右手で撫でると、空中に漂う魔ヅラを一つ掴んで話を続けた。

「K.G.B.エージェントの中で、魔ヅラを作る者を職人、それ以外の魔ヅラを操る者をカツラ使いと呼ぶ。魔ヅラを製作するカツラ職人の中でも、一級カツラ職人という最難関の国家資格を持つ、一流のカツラ職人にしてカツラ使いがヅラ師と呼ばれるのだ」

 そう言うとカツラスキーは、手に持っていた魔ヅラをベラマッチャに向かって投げ付けた!

「げぇッ!」

「ベラマッチャさん!」

 身体を仰け反らせ、間一髪で魔ヅラをかわしたベラマッチャの前に、パンチョスが躍り出た。パンチョスはギターを握り締めると、カツラスキーを睨みながら弾き始め、ベラマッチャに声をかけて来た。

「ベラマッチャさん、俺に任せとけ」

「フッフッフ……、カルロス・パンチョス……。貴様のギターで私を殺れるかな? 魔ヅラ、真の威力を見せてやる!」

 カツラスキーはニヤリと笑うと、空中に浮かぶ魔ヅラの中から一つを取り、己の頭に被せた! モジャモジャしたヘアスタイルの魔ヅラは、パンチョスが室内で指差した伝説の宮廷音楽家、ベントーベンの魔ヅラだ。

 自分の頭に魔ヅラを被せるというカツラスキーの行動に、パンチョスは呆気に取られている。ベラマッチャたちも、カツラスキーの行動に首を傾げながらパンチョスとカツラスキーを交互に見た。

「ナニ考えてやがるんだ? 俺に勝てねえからって自殺するつもりか?」

「馬鹿め、これで貴様の死は決まったのだ」

 カツラスキーの行動が理解できないパンチョスは、弦を弾きながら必殺のチャーミング・デスメタルを繰り出した!

「シャバダバダ~、分かるかなぁ……分かんねえだろうなぁ……。死ぬのはテメーだぜ……」

 パンチョスの弾くゆっくりとした曲が、爆音ギターの音と共に突如スピードアップすると、カツラスキーは両手を忙しなく振り出したのだ!

 すると、カツラスキーの両手の動きと共にパンチョスの弾くロックンロールが、爽やかなメロディーのワルツに変化したではないか!

「うおぉッ!」

 なんという事か! カルロス・パンチョスは身体の自由を失ったが如く、その場で何度かクルクル回るとベラマッチャたちに向かい、今度はロックンロールを演奏し始めた。

「シャバダバダァッ!」

「げぇッ!」

 音に弾き飛ばされたベラマッチャたちは地面に打ち付けられ、驚愕の表情でカツラスキーと困惑顔のパンチョスを見た。


2017年11月8日カツラ大戦争