第二話 Teenage Robotomy 其の7

2017年11月8日カツラ大戦争

(終わっとる……。ヘンタイロス君の戦いも……)

 ブラジャーを直すヘンタイロスに戦いの終わりを見たベラマッチャは、カツラが取れ呆然と立ち尽くしている暴行族に向かい、大声で叫んだ。

「暴行族の諸君! 聞きたまえ!」

 ベラマッチャの声に、何事が起きたのか理解できないでいた暴行族たちが、一斉に振り向いた。

「君等の悪行もこれまでだ! 街の人々への乱暴狼藉! 稼業人への喧嘩を売る様な振る舞い! 僕等は断じて許さんぞ!」

 ベラマッチャの話を聞いた暴行族たちは、一瞬の間を置いた後ざわめき、やがて悲鳴をあげ、脱兎の如く逃げ始めた。

「稼業人と喧嘩だって!?」

「うわあぁ! 暴行族は解散だ~ッ!」

 雪崩を打ち逃げる暴行族を目にし、僅かばかりの爽快感を味わうベラマッチャに、ヘンタイロスが近づいて来た。

「ねぇん、ベラマッチャ、ポコリーノが誰か連れて来るわよん?」

 ヘンタイロスの指す方向を見ると、確かにポコリーノとシャザーン卿が男の腕を片方づつ持ち、引き摺って来る。

 ベラマッチャとヘンタイロスは台座から降り、ポコリーノ達に向かって歩いて行った。

「まったく世話の焼けるガキ共だぜ」

 ポコリーノとシャザーン卿は男の腕から手を離すと、男が被っているカツラを脱がせ、放り投げた。

 ベラマッチャとヘンタイロスはポコリーノ達に近づくと、男の顔を覗き込んだ。

「むぅ、台座の上で叫んでいた男だな」

「この男がリーダーかしらん?」

「多分そうじゃろう。ポコリーノ、この馬鹿を起こせぃ」

 ポコリーノはシャザーン卿の言葉に頷き男に往復ビンタを喰らわせると、男は顔を顰めて短い声を漏らしながら、ゆっくりと瞼を開いた。

「とっ、渡世人!」

 男は仰天したらしく、コメツキバッタの様に飛び起き、やがて観念した様な表情でその場に座り込んだ。

 ベラマッチャは、疑問に思っていたカツラについて聞こうと、男の目をジッと見ながら尋ねた。

「キミィ、なぜ君たちはカツラなど被っとるのだ? 禿げてる訳でもなかろう?」

「そっ、それは……」

男は下を向き恥ずかしそうにモジモジしていたが、催促するようなベラマッチャの視線に覚悟を決めたらしい。

「少し前にエロいオバサンと知り合って、姦らせてやる代わりに頼みを聞いて欲しいって言われたんだ……」

 男は血の気が失せた顔を下に向け、ゆっくりと話だした。


2017年11月8日カツラ大戦争