第一話 Violent World 其の3

2017年11月8日カツラ大戦争

「マラッコの親分、俺たちに連中をブチのめせって言うのかい?」

「早い話、そういう事だ」

「俺は喧嘩屋だ。喧嘩の腕を売るのが商売だぜ。それに、親分には恩義がある」

 ポコリーノの言葉に、腕を組んで考え込んでいたベラマッチャが疑問を投げかけた。

「ポコリーノ君、彼らはまだ若い。イドラ島の未来を担う青年たちだ。殴る事はないのではないか?」

 ベラマッチャの疑問に、顔役が答えた。

「渡世人さん、こう言っちゃあなんだが、連中はイドラ島の未来を腐らせるゴミの集まりだ。隣の木人さんが言うように、ブチのめしちまえばいいんだよ」

 顔役の言葉に、ベラマッチャは再び腕を組み考え込んだ。痛い思いをさせれば大人しくなるだろうが、果たしてそれで問題が解決するのだろうか?

 顔役は考え込むベラマッチャから、ポコリーノに顔を向けた。

「木人さん、頼もしいねえ。あんたの名前は?」

「俺はポコリーノだ」

「ポコリーノ! あっ……、あのポロスの木製番長……」

 顔役が驚き、ポコリーノの顔を見つめていると、隣に座っているマラッコが説明し始めた。

「そう、ポロスの撲殺ロボ、P.P.だ。隣のスモウレスラーは、ウツロの森の向こうから来たベラマッチャ、最後の裸族だそうだ」

 マラッコの説明に、顔役は再びベラマッチャに顔を向けた。

「スモウレスラー……。マワシが凄く余ってるな。小柄だが、大丈夫なのか?」

「裸足で野山を駆け回り、槍一本で野生動物を仕留めてた奴だ。心配ねえだろう」

 その言葉に、顔役は素手でライオンと格闘するベラマッチャを想像し、ブルルッと身震いした。

「まっ、まさに運動神経の奇形児ですな……」

 ベラマッチャは、乗り気のしない頼まれ事を早く終わらせようと、仰天の表情で己を見つめる顔役に話しかけた。

「顔役、どう解決するかは僕等に任せてくれたまえ。マラッコの親分、親分の恩義に報いるため、なんとかやってみよう。ポコリーノ君、シャザーン卿とヘンタイロス君は?」

「あの二人なら西ワグカッチの風呂屋へ行ってるぜ」

 ポコリーノの言葉に、マラッコと顔役がニヤついた。

「今日も風呂屋か……。あの二人、相当なスキモノだな」

「この街が誇る西ワグカッチ流、お仲間はお気に召したようですな」

 ベラマッチャは両手を広げて肩を竦めるとマラッコと顔役に挨拶し、ポコリーノと二人、居間を出て行った。


2017年11月8日カツラ大戦争